【自作キャンピングカー】③電気システム配線図

この記事では、キャンピングカーでのソーラーパネルシステムの電気配線に関する解説を行っています。 「電気って具体的に何?」や「V、A、Wとは?」といった疑問をお持ちの方は、 【電気配線に必要な基礎知識】の記事を参照してみてください。

また、ソーラーパネルシステムの機器に詳しくない方向けに、 【機材の紹介とおすすめ商品】も記事としてご紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

キャンピングカーで電気システムを構築する際、ほとんどの場合は12Vか24Vが選ばれます。
では、12Vと24Vの違いは何でしょうか?
今回はまず、12Vと24Vの違いについて考察していきます!

12Vと24Vの違い

12Vのメリット

・普通車のメインバッテリーは12Vが主流なので、12Vシステムの構築が容易です
・MPPTや走行充電器、インバータなどの主要な機器は、12V用の選択肢が豊富です
・12V対応の電化製品も多数存在します
・12V機器は、価格が手頃で入手しやすい傾向にあります

一方、バスやトラックのメインバッテリーは24Vであることが多く、バスなどの特定の車種では24Vシステムが主に採用されています。

24Vのメリット

・24Vは12Vに比べて、細いケーブルで同じ電力を扱うことができます。
・ケーブルが細くても済むため、取り回しが楽でコストも抑えられます。

12Vと24Vの違いは、電圧(ボルト)が単純に2倍という点ですが、同じ出力(ワット)の場合、電流(アンペア)が2倍となります。


例:3000Wのインバーターを接続する場合

3000W ÷ 12V =250A

3000W ÷ 24V =125A

電気ケーブル太さの選び方にある表で照らし合わせると

12Vの場合:80SQケーブル(許容電流269A)

24Vの場合:38SQケーブル(許容電流162A)

ケーブルが太くなるデメリット

・ケーブルが太くなるほど、コストが上がります。
・太いケーブルは取り扱いが困難で、特に曲げることが難しいです

単純にアンペアが高いと、それだけ電流の流れが強くなるため危険性が増します。
24Vを使用する場合、ケーブルの取り回しや安全面で有利です。

12Vと24V(DC)を使用する電化製品

キャンピングカー内でDCを利用する機器には以下のようなものがあります。
・水のポンプ
・MAXファン
・照明
・充電器
・冷蔵庫

これらの機器はDC電源を直接使用します。
また、多くのクルマ用電子機器もDC用に設計されています。
特に24時間連続運転する冷蔵庫は、DCの利点を最大限に活かして動作します。

12Vシステムの構築

12Vシステムの構築方法を見ていきましょう。

【12Vの配線図】

ケーブルについて

ケーブルの太さは、それぞれの流れるアンペア数を基に計算して決定します。
適切な余裕を持った太さのケーブルを選択するよう心掛けてください。
具体的なケーブルの選定方法については、以下の表を参考にしてください。

サイズ(SQ もしくは mm2AWG外形(mm)許容電流(A)
1.25AWG 160.919
2AWG 141.127
3.5AWG 121.537
5.5AWG 103.149
8AWG 83.761
14AWG 64.988
22AWG 47115
38AWG 2
AWG 1
9.1162
60AWG 1/0
AWG 2/0
11.6217
80AWG 3/0269

ヒューズについて

ヒューズの選定においては、アンペア数を計算し、少なくともそれ以上のものを選択することが一般的です。

例として、Renogy 50A MPPTからメインバッテリーへの間には、70Aのヒューズを取り付けています。 このRenogy 50A MPPTは、最大で50Aの電流をサブバッテリーに供給します。
そのため、この50Aより一段上の70Aのヒューズを選んで取り付けることになります。

アースについて

Renogy 12V 100AH LiFePO4(サブバッテリー)のマイナスから出ているものがアースです。 図では分かりにくいかもしれませんが、車体のボディ(鉄板部分)に接続することを意味しています。

アースが繋がっていないと、何かの原因で余った電気が行き場を失い、最悪の場合は発火したり、近くにいる人間に流れることがあります。それを防ぐために、たまった電気を車体に流してやります。 電気は抵抗の小さい、流れやすい箇所を通る性質があるので、その性質を利用して車体へ電気を流します。

車に最初から取り付けてあるヒューズボックスも、車体のどこかにアースが伸びているはずです。

ソーラーパネルの接続に関して

ソーラーパネルは直列に接続します。 直列に接続することで、ケーブルの太さを減らすことができる利点があります。
接続はMC4コネクターを使用して行います。
ソーラー専用のケーブルを購入すれば、最初からコネクターが取り付けられています。

しかし、ケーブルの長さを調整する必要がある場合、端子部分をカットすることになります。 (大抵ケーブルの長さを変更することになります。)
その際、自分でMC4コネクターを取り付ける必要があります。
この作業は思うより難しくはないですが、初めての方は何度か失敗する可能性が考えられます。
少し多めにコネクターを注文することをおすすめします。

さらに、MC4コネクターの取り外しや取り付け時に役立つ専用のレンチが存在します。 もし持っていなくても、何とかなるかもしれませんが、コネクターは硬くて扱いにくいので、手間がかかります。 手頃な価格で購入できるので、レンチの購入をおすすめします。

車の天井に穴を開け、ソーラーパネルのケーブルを車内に引き込む作業があります。 この際に役立つのが、ソーラーケーブルボックスです。 ボックスの周囲はシリコンで密封し、雨水の侵入を防ぎながら取り付けを行います。

ソーラーパネルにはオンオフのスイッチを装備しておきます。
端子部分の操作を行う際、スイッチがあると作業が容易です。
さらに、ソーラーパネルが破損したり、原因不明の故障が発生した場合、また電気の流れが不確かな時など、スイッチを用いて電気の供給を確実に止めることができるので、安全性が確保されます。
確実にスイッチから先の電気を切れるので安心安全です。

ソーラーパネルとMPPTの配線を映像にしました。

12Vのヒューズボックス

水道ポンプ、MAXファン、照明、冷蔵庫など、多くの機器がこの根本部分に接続されます。 各機器ごとに、専用のヒューズを取り付けていきます。

12V用のヒューズは、ホームセンターでも取り扱っています。 ヒューズには3種類の形状がありますので、正しいものを選ぶために形をしっかり確認しましょう!

次は僕が実際に施工した24Vの配線図を見てみましょう。

24Vシステムの構築

【24配線図】

走行充電のシステムを追加するため、全体を24Vで構築しています。
使用しているインバーターは海外製で、出力は120Vです。 日本の100Vの家電でも、120Vで問題なく動作していますが、一部の精密機器などは対応が異なる場合があるので、ご自身の判断と責任でご使用ください。

ソーラーパネルは350Wを3枚使用して、合計1050Wを設置しています。
これらのパネルは、開放電圧(Voc)が約50Vあります。このため、150V以上の余裕を持ったMPPTコントローラを採用しています。

また、MAXファンや冷蔵庫など、12V仕様の商品もありますので、24Vから12Vへのダウンコンバーターを設置しています。

今後、さらに詳しい設置方法についても共有していく予定ですので、お楽しみに!