この記事では、キャンピングカーでのソーラーパネルシステムの電気配線に関する解説を行っています。 「電気って具体的に何?」や「V、A、Wとは?」といった疑問をお持ちの方は、 【電気配線に必要な基礎知識】の記事を参照してみてください。
また、ソーラーパネルシステムの機器に詳しくない方向けに、 【機材の紹介とおすすめ商品】も記事としてご紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
キャンピングカーで電気システムを構築する際、ほとんどの場合は12Vか24Vが選ばれます。
では、12Vと24Vの違いは何でしょうか?
今回はまず、12Vと24Vの違いについて考察していきます!
Contents
12Vと24Vの違い
12Vのメリット
・普通車のメインバッテリーは12Vが主流なので、12Vシステムの構築が容易です
・MPPTや走行充電器、インバータなどの主要な機器は、12V用の選択肢が豊富です
・12V対応の電化製品も多数存在します
・12V機器は、価格が手頃で入手しやすい傾向にあります
一方、バスやトラックのメインバッテリーは24Vであることが多く、バスなどの特定の車種では24Vシステムが主に採用されています。
24Vのメリット
・24Vは12Vに比べて、細いケーブルで同じ電力を扱うことができます。
・ケーブルが細くても済むため、取り回しが楽でコストも抑えられます。
12Vと24Vの違いは、電圧(ボルト)が単純に2倍という点ですが、同じ出力(ワット)の場合、電流(アンペア)が2倍となります。
例:3000Wのインバーターを接続する場合
3000W ÷ 12V =250A
3000W ÷ 24V =125A
電気ケーブル太さの選び方にある表で照らし合わせると
12Vの場合:80SQケーブル(許容電流269A)
24Vの場合:38SQケーブル(許容電流162A)
ケーブルが太くなるデメリット
・ケーブルが太くなるほど、コストが上がります。
・太いケーブルは取り扱いが困難で、特に曲げることが難しいです
単純にアンペアが高いと、それだけ電流の流れが強くなるため危険性が増します。
24Vを使用する場合、ケーブルの取り回しや安全面で有利です。
12Vと24V(DC)を使用する電化製品
キャンピングカー内でDCを利用する機器には以下のようなものがあります。
・水のポンプ
・MAXファン
・照明
・充電器
・冷蔵庫
これらの機器はDC電源を直接使用します。
また、多くのクルマ用電子機器もDC用に設計されています。
特に24時間連続運転する冷蔵庫は、DCの利点を最大限に活かして動作します。
12Vシステムの構築
12Vシステムの構築方法を見ていきましょう。
【12Vの配線図】
ケーブルについて
ケーブルの太さは、それぞれの流れるアンペア数を基に計算して決定します。
適切な余裕を持った太さのケーブルを選択するよう心掛けてください。
具体的なケーブルの選定方法については、以下の表を参考にしてください。
サイズ(SQ もしくは mm2) | AWG | 外形(mm) | 許容電流(A) |
---|---|---|---|
1.25 | AWG 16 | 0.9 | 19 |
2 | AWG 14 | 1.1 | 27 |
3.5 | AWG 12 | 1.5 | 37 |
5.5 | AWG 10 | 3.1 | 49 |
8 | AWG 8 | 3.7 | 61 |
14 | AWG 6 | 4.9 | 88 |
22 | AWG 4 | 7 | 115 |
38 | AWG 2 AWG 1 | 9.1 | 162 |
60 | AWG 1/0 AWG 2/0 | 11.6 | 217 |
80 | AWG 3/0 | 269 |
ヒューズについて
ヒューズの選定においては、アンペア数を計算し、少なくともそれ以上のものを選択することが一般的です。
例として、Renogy 50A MPPTからメインバッテリーへの間には、70Aのヒューズを取り付けています。 このRenogy 50A MPPTは、最大で50Aの電流をサブバッテリーに供給します。
そのため、この50Aより一段上の70Aのヒューズを選んで取り付けることになります。
アースについて
Renogy 12V 100AH LiFePO4(サブバッテリー)のマイナスから出ているものがアースです。 図では分かりにくいかもしれませんが、車体のボディ(鉄板部分)に接続することを意味しています。
アースが繋がっていないと、何かの原因で余った電気が行き場を失い、最悪の場合は発火したり、近くにいる人間に流れることがあります。それを防ぐために、たまった電気を車体に流してやります。 電気は抵抗の小さい、流れやすい箇所を通る性質があるので、その性質を利用して車体へ電気を流します。
車に最初から取り付けてあるヒューズボックスも、車体のどこかにアースが伸びているはずです。
ソーラーパネルの接続に関して
ソーラーパネルは直列に接続します。 直列に接続することで、ケーブルの太さを減らすことができる利点があります。
接続はMC4コネクターを使用して行います。
ソーラー専用のケーブルを購入すれば、最初からコネクターが取り付けられています。
しかし、ケーブルの長さを調整する必要がある場合、端子部分をカットすることになります。 (大抵ケーブルの長さを変更することになります。)
その際、自分でMC4コネクターを取り付ける必要があります。
この作業は思うより難しくはないですが、初めての方は何度か失敗する可能性が考えられます。
少し多めにコネクターを注文することをおすすめします。
さらに、MC4コネクターの取り外しや取り付け時に役立つ専用のレンチが存在します。 もし持っていなくても、何とかなるかもしれませんが、コネクターは硬くて扱いにくいので、手間がかかります。 手頃な価格で購入できるので、レンチの購入をおすすめします。
車の天井に穴を開け、ソーラーパネルのケーブルを車内に引き込む作業があります。 この際に役立つのが、ソーラーケーブルボックスです。 ボックスの周囲はシリコンで密封し、雨水の侵入を防ぎながら取り付けを行います。
ソーラーパネルにはオンオフのスイッチを装備しておきます。
端子部分の操作を行う際、スイッチがあると作業が容易です。
さらに、ソーラーパネルが破損したり、原因不明の故障が発生した場合、また電気の流れが不確かな時など、スイッチを用いて電気の供給を確実に止めることができるので、安全性が確保されます。
確実にスイッチから先の電気を切れるので安心安全です。
ソーラーパネルとMPPTの配線を映像にしました。
12Vのヒューズボックス
水道ポンプ、MAXファン、照明、冷蔵庫など、多くの機器がこの根本部分に接続されます。 各機器ごとに、専用のヒューズを取り付けていきます。
12V用のヒューズは、ホームセンターでも取り扱っています。 ヒューズには3種類の形状がありますので、正しいものを選ぶために形をしっかり確認しましょう!
次は僕が実際に施工した24Vの配線図を見てみましょう。
24Vシステムの構築
【24配線図】
走行充電のシステムを追加するため、全体を24Vで構築しています。
使用しているインバーターは海外製で、出力は120Vです。 日本の100Vの家電でも、120Vで問題なく動作していますが、一部の精密機器などは対応が異なる場合があるので、ご自身の判断と責任でご使用ください。
ソーラーパネルは350Wを3枚使用して、合計1050Wを設置しています。
これらのパネルは、開放電圧(Voc)が約50Vあります。このため、150V以上の余裕を持ったMPPTコントローラを採用しています。
また、MAXファンや冷蔵庫など、12V仕様の商品もありますので、24Vから12Vへのダウンコンバーターを設置しています。
今後、さらに詳しい設置方法についても共有していく予定ですので、お楽しみに!